パリのノートルダム大聖堂。
15年前、はじめて目の前にした感動。
正面の造形しか知らなかった私は、後方に続く十字の屋根の大きさに、不思議な生き物のようにしっかりと屋根を支える梁に、公園から眺める後ろ姿に、、、その場所から発せられるすべてに心が躍った。
どこから見ても惹き付けられる魅力がある。
自分が正面だと思っている姿形だけが本当なのではなく、真実には様々な角度があって、その都度自分の中に生まれるものが確かにある、ということを、パリの街の真ん中で自ら体現しているように見えた。
それからいくつかの季節にパリを訪れるたび、ノートルダムはいつもしっくりと街に馴染み、いつでもそこにいてくれた。
いま、少しのあいだ、違う形をみせているけれど。
これまでノートルダム大聖堂に慰められ、勇気づけられてきた沢山の人の大切な記憶と、膨大な記録がきっと、未来の再建への道しるべとなりますように。